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本館の改装工事のため、再録&連載用です。
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1話「動き出した何か」
 キンコンカンコーーーーーンキンコンカンコーーーーーーーン
疲れ切った体には大きすぎるほどに机に突っ伏した泉佳に降り注ぐ。
「うぅぅぅぅぅ・・・・・・・うるさい」
眉間にしわを寄せて唸る泉佳に愛香と幸可は苦笑する。
「ほ~ぅっら~。早くこれ、着替えちゃおうよ!」
「ふふ、そのまま居るとドア、閉まっちゃうよ?」
それだけは、と言う顔でクタクタで重い体を起こして立ち上がった。
その時、ドスンという音がして愛香の持っていた教科書やノートが散らばった。
「ぁっ!」
事細かに説明が書きこまれたノートが散らばる。
不覚にもそれはルーズリーフでただ挟んであるだけだったので
足の踏み場がないほど広がった。
「っあ!!ごめんね。余所見してて、今拾うから。」
一見して、優男にしか見えない葵の目線がふと飛び込んできた。
思いのほか、きりっとした鋭い目つきだった。
見とれていた愛香の前にノートの束が渡された。
「はい。これで全部?抜けてるとこない?」
そんな愛香を見て二人はようやく確信をえた。
いわゆる、キターーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!
という奴だw(このネタ、分かる人にはわかる)
まだ、出会ってからそう時間は経っていないがこんなに人って変わるもの?
んぅむ、自然と眉間にしわが・・・・
「泉佳、泉佳」
「んん?」
「どっかの、管理官じゃないんだからそんなことしないの!
純情可憐な乙女なんだから!」
え?今、なんと?
純情?可憐?乙女?!!!!
今度は逆にぽけらっとしてしまった。まさか、生まれてこの方そんな単語が
自分に向けられようとは思いもしない自体だ。
二人してその場に立ち尽くしていると。
「ほらぁ~~~♪早く、ご飯食べに行こうよ。もう、8時になっちゃうよ。」
ぽんと背中を押され、着替えにロッカールームへ
現在、19:20急がないとおなかが不満を漏らすより先に席が埋まりそうである。
ロッカーには一人ずつにハンガーまで用意してある。
しかし、この時間に技術が終わるクラスはたいていがハンガーに掛けず
放り込んであるのが実情。きちんと、ハンガーに掛けましょう。
食堂に向かって猛ダッシュ。
するも、角を曲がって見えたのは恒例「行列のできる食堂」が既に出来上がっていた。
これのデッドラインは15人なのだが。
すでに、20人突破。せめて、別のところにもう一箇所ぐらい欲しい物である。
仕方なく列の最後に並び、順番を待つ。
今回は珍しくすぐに入れた。ラッキー♪
今日は数少ないデザート足してokの日。
ルンルンで見に行くと9種類のデザートから思い思いに
好きな物を取る。
幸可は杏仁豆腐、愛香はモンブラン、泉佳は抹茶あんみつにした。
定食の味に感動しつつ、食堂のオバちゃんに感謝。
お茶が必ずついてくるのも魅力。
一息ついたところでお待ちかねデザートへ
やっぱり、女の子はこの瞬間が幸せです。
食べ終わった食器をカウンターへ持って行くと
ここのしきたりとして「ごちそうさま。ありがとう」と言って食堂を出る。
最初はごく一部、しかも好きなおかずやデザートを食べた時だけだったのが
日頃の感謝を伝えようと言う張り紙がいつからか張られるようになった。
目に付きやすい券売機に張ってあることから実践するものが増えて言ったのが始まり。
食堂のオバちゃん達はみんなのお母さん代わりでありまた、奥さんだった。
そんな、ありがたさを感じながら寮へ戻る。
今夜も寮へ続く長い列を歩きながら最初の人が道を間違えていたら、なんてふと思ったりしていた。
今日は宿題もある。徹夜にならないようにしなきゃ。
寮について早々お風呂に入る事にした。
風呂場だけは毎日10時きっかりにドアが閉まる。
うっかり、長湯して朝まで中に閉じ込められたものがいるほど時間に厳しい。
脱衣所から風呂場へのドアを開けると微かにオレンジの匂いがする。
ここは普段目にする事が減っている銭湯と同じような作りになっている。
蛇口をひねるとすぐにお湯が出るのはいいが熱すぎるのも大変で
毎回温度を調節している。シャワーならこんなことはないけど。
ゆっくりくつろいでから部屋に戻る。
宿題を机に広げると1枚プリントがない。
幸可に貸したままなのを思い出した。
「ちょっと、隣に行ってくるね。」
「うん。何か上に着ないと湯冷めするよ。」
「そうだね。ありがとう。」
戸口で振り返ると窓の外から何かが中をのぞいている。
不審に思って目を凝らすと人ではない、肉の塊に巨大な目が
縫い付けたかのようにくっついていた。
「っひ。。」
ガタン。恐怖のあまりドアまで後ずさりする。
その得体の知れないものが何事かを喋っているように見えたのは気のせいだろうか?
「み、、、泉佳?!大丈夫?真っ青だよ。」
「い、今、そこに変なのが・・・・・・」
窓の外を覗いて見たもののなにも居たような形跡はなかった。

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プロローグ2
「なんで、こんな厳重なロックかけてあるのよ!」三人は絶句した。
「コレじゃ、入れへんやんか・・」
「「え??」」
ついつい、方言で喋ってしまったっと、あわてて口をつぐんだ泉佳。
しかし、時すでに遅し、隠していたことがバレてしまった。
「もしかして関西出身?泉佳」
「う、うん・・・・実は」
そんなことを言っている間に後ろに行列・・・・・
後ろの子が早く開けてくれとばかりに待っている。
(こ、こんな時は)
「あ・・・」
愛香。と声をかけようとしたら、既に扉の前で
カチャカチャ開けようとしてくれていた。
さすが、姉さん開けてくれるんだね。
「開きそう?」
「・・・・・・・・・・う~うん・・・・」
手伝った方がよさそうである。
鍵は三重にかけてあるようで防犯対策をかけてあるのか?
それともわざとなのか?
「・・・手伝う?」
愛香はただ、上の鍵を指差すだけでそれ以上は何も言ってくれなかった。
上に付いている鍵はさして珍しい物ではなかったマンションなんかに
よく付いているU字型のバーで壁とドアを固定しているものに鍵が
加わったようなものだ。
これの開け方のメジャーなところではバーを叩き壊すか・鍵を開けるか。
壊すのは簡単だが下の鍵は電子ロックになっているらしく
丁寧に番号を確かめながら開けているようである。
壊したら破片が愛香に当たるので鍵を開けることにする。
まず、試すのはヘアピン。
上手く行けばこれで大概のは開くがピッキング対策してあると無理。
ベキッと音がしてピンにひびが入った。
完全に折れないようにしてゆっくり引き出すとだいたいの鍵の形が分かる。
道具箱に入っている石膏粘土を鍵の形に成形していくと数分で固まる。
やすりで少しずつ削りながら鍵を合わせていく。
15分ぐらいしてようやく、合致する形になりカチャンと鍵が開く。
「なんとか、終わったかな。そっちは?」
少しの沈黙ののち、後30と言う声が帰ってきた。
依然急ピッチでキーを叩いていた愛香の手がふと止まった。
しばらくすると、ピーっと音を立てて鍵が開いた。
いよいよ、開けられるという時になって
「泉佳、IDカード使うみたい」
どうやら、ココは4重ロックみたいだ。
中に入ると先生が得意満面に待っていた。
肝心の授業はと言えば、器具の説明やら席決めくらいで初日を終えた。
ようやく、お待ちかねの寮への帰還となった。
「なが~~~い。お疲れ様でした。」

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プロローグ1

 この話には2つの始まりがありやがて、一つへとつながっていく。
まずは、この話からはじめるべきかも知れない。

<プロローグ>
 ここ時層空間の始まりといわれる時空間を人は皆、“0時元”と。
そして、ここに“タイムセーバー”と呼ばれるものたちの本拠地がある。東西南北四方に点在し、それぞれに候補生たちの訓練施設が存在する。一つはここから始まることになる。
                =C-2教室=
 「静かにしなさい!さあ、席に着いて!!」
教官の一言で、それまであちらこちらで騒いでいた生徒たちがいっせいに口を
つぐんだ。
「今から皆さんがこれからする勉強についての説明をします。」
生徒たちにプリントが配られ、教官の話が続いた。
「これから、皆さんには法律、技術、体育、数学などを勉強してもらいます。
内容についてはそのつどお話していきます。」
「質問のある人は前へ、それ以外の人は寮に戻ってください。」
皆いそいそと食堂へと向かう。昼過ぎまでの長い説明のため、一同は
眠気と空腹の中、ふらふらとしながら、昼食をとっている。
彼女もまた他と同様であった。
「ねえ、ここ座っていい?」
2人組みが声をかけてきた。どうやら、今まで声をかけてきた男達や
きゃぴきゃぴした性格ではなさそうなので、素直に相席に応じた。
2人とも同じクラスで、今日はじめて会い話しているうちに
仲良くなったのだそうだ。
その後もいろいろと話し自己紹介をすることになった。
「私は、主随愛香(しゅずい あいか)よろしくね。」
「はぁ、どうも。」
少女は面食らっていた。
「私は、衛藤幸可(えとう さちか)よろしく。」
それは何故かというと、学歴などの素性を抹消された
上でここにいるからである。
どうゆう事なのかと考えていると、
「ねぇ、名前は?」
愛香に尋ねられ、思わず焦ってしまった。
「え?え?え?」
「初めのとき、認識名って言うのを登録したでしょ?あれだよ。」
「あぁ、あれね。うんうん。」
「えっと、私は岸島 泉佳(きしじま みか)よろしく。」
「「こちらこそ、よろしく。」」
「じゃあ、泉佳って呼んでいい?」
「もちろん。」
自己紹介を終えるころには、だいぶ食堂の中は空いてきていた。
普通ならば、早いと感じる時間帯である。
それと言うのも、寮への道のりがことに遠いためである。
3人も食べ終えた食器をカウンターへ置いて、寮へ戻ることにした。
寮への道のりは、地図を渡されているのでわかるのだが、それよりも
灯篭(とうろう)流しのように連なっている人波をたどるほうが確かである。
「ねぇ、長いね・・・」
幸可は、ポツリとつぶやいた。しかし、2人はそれに答えることはできなかった。
いつの間にか、テンションが高くなっているものが1人いた。
これは、ランナーズハイというものであろうか。
「走ろうか?」
「「ここから走るの!?」」
ここから寮まで、それなりにまだ長い距離がある。
歩いてもへとへとになる道のりを幸可は、走ろうと言い出したのである。
「どうする?」
「この際だから、行ってみよう!!」
そして、3人は走り出した。
<大丈夫だろうか?この3人。>
人ごみの中を全力疾走して、寮が目の前に見えたとき、
3人は力尽きてその場に座り込んでしまった。
3人とも肩で息をしながらも、また寮へと歩き出した。
「疲れたね。」
「誰、走ろうなんて言い出したのは・・・・」
寮の中へ、入ると同じ質問が飛びかっていた。
「そっちは?部屋どこ。」
「オレ、102号室。」
3人も早速、部屋割り表を見に行った。
「次は、荷物運びだね・・・・」
うんざりした顔で、美佳が山積みになっている荷物の山を指差した。
「ねぇねぇ、2人は何号室?」
「私は、312号室。」
「じゃあ、私は幸可と一緒だ。」
「えぇ、私一人だけ隣の部屋に行くのー。」
愛香の部屋は、隣の313号室。
1人だけ違う部屋なことにぶうぶう文句を言っている。
「そっか―、隣りだし遊びにおいでよ。」
とりあえず、玄関に置いてある荷物の山から自分の荷物を引っ張り出し、
部屋へ運んでいくことにした。
2階にある自分たちの部屋まで、大きな荷物を担いで上がることにした。
しかも、それを訓練生全員、いっせいにやるのだからたまらない。
とにもかくにも進まないのだ。
ようやっと、部屋まで運び終えるとすっかり遅い時間になっていた。
誰が言い出すでもなく、訓練生たちは寝入っていた。
  翌朝は、これがまた大変なことにくたくたになって歩いた道のりを
時間内に教室まで戻らなくてはならないという、朝の大仕事が待っているのだ。
「美佳、起きないと遅刻するよ。」
「あと少しだけ。」
「向こう行かないと、ご飯も食べられないよ。」
「わかった、ご飯は食べたい。」
寝ぼけ眼でおきると、すでに制服に着替えている愛香の姿があった。
「うぅ、エリートのバカー!!」
何故かと言えば、現場の人たちの寮は
訓練施設棟からすぐ近くにあるからである。
美佳も制服に着替え、隣の部屋の幸可も誘っていくことにした。
「じゃあ、そろそろ呼びに行こうか?」
「わかった。」
2人は隣の部屋の扉をノックした。
「愛香ー、一緒に教室行こー!」
中から、ごそごそという物音がしている。
どうやらこちらも行く準備が整ったようである。
「ちょっと、待ってて。今行く。」
しばらくすると、部屋のドアが開いた。
「お待たせ。じゃあ、行こう。」
3人は、また長い道のりを歩いて訓練施設へと向かった。
「やっぱ、これ毎朝ってきついね。」
「まったく。」
着くや否や、息を切らせて壁に持たせかかった。
「訓練生のための限定20食のメニュー知ってる?」
「あぁ、1200円ね。」
「食べてみたいなー。」
月々の生活費として、5000円を支給されている。金額を見れば、
明らかに後がきつくなるのだ。それでも、注文する人間がいるのだから1度は
食べたいものだ。
そこへ、息を切らせて愛香がやってきた。
「こんなところで、何やってるの?早く行かないと時間無いよ。」
「限定メニューが・・・」
「あぁ、あれね。」
興味なさげに、言い放った。そうしている間にも、周りの訓練生たちは騒がしく
食堂へ向かっていく。
「とりあえず、行こうか。」
「「うん。」」
3人は、人でごった返す食堂へと歩き出した。
人の波に、もまれながら食堂につくと、3台ある券売機の前に人・人・人。
「これはちょっと・・・・ねぇ。」
「・・・・結構早く出たつもりだったのに。」
食堂のどこも人でごった返している。人の列に並んで食券を買えたのは、
その30分後のことだった。カウンターの奥では、大汗を流しながら料理を作る
おばさんたちがいた。
いつもの事ながら、このパワフルさには脱帽の思いである。
「はい、次!できあがりだよ。」
「どうも。」
トレイを受け取ると、今度はその人並みの中を掻き分ながら
席を見つけなければならない。
「美佳、先に行って席とっといて!」
「了解~!」
さっそく、トレイを愛香に預け美佳は人の壁の中を
掻き分けて席を探すことにした。
「席を見つけるのは、案外楽なんだけどねぇー。」
振り返ると、あたふたしながらこちらへ抜けてくる2人の姿があった。
するとそこへ、一人の男子がなにやら声をかけてきた。
「相席、頼める?」
「ごめん、後2人くるんだ。」
へとへとになった2人がそこへ到着した。
「やっと、たどり着いた~。」
「いつもこれだー!もぅ、早くしなきゃ。」
愛香は、そういうや否や早速食べ始めた。
周りではすでに、教室に向かい始める者がいた。
手短に食事を終え、3人も教室に行くことにした。
始業のチャイムが鳴り、授業が始まった。
「今日、最初の授業は法律です。これまで皆さんが習った
憲法の起こりから始めます。」
ここから、訓練生たちの顔色が変わる。個々のノートのとり方があるらしく
あるものは用語らんを作ったり、色分けしたりしながら必死で教官のペースについていく。
ほとんどの場合ならば、遊ぶものが1人位いそうなものだが
ここでそれはいなかった。
長い授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響き、とたんに教室が騒がしくなった。
この後も、体育・数学・言語と続きようやっと昼休みになった。昼休みの恒例と
なりつつある、争奪戦が開始される。場所取りやメニューの早取りなどは
特に熾烈を極めるものである。
早く行けばそれだけ、良い場所・沢山のメニューが選べるのだ。
それだけではなく、時間的な余裕もできることもあって
訓練生たちの気合も違ってくるというものだ。
これも、訓練の一つだと聞いたこともある。
「美佳、先に場所取りお願いね!」
「じゃあ、B定食でよろしく。」
「こっちは、どうやって運んでいくかだね。」
「よーしっ、頑張るぞ!」人を掻き分けて
愛香と幸可はの待つ席へと向かっていった。
トレイに乗った、お味噌汁やスープがちゃぷんちゃぷんと波打っている。
こぼさないように注意しながら、ようやっと席に到着した。
「やっと、着いた~。」
「お疲れ~!」
泉佳が、トレイを受け渡すとそこへ男子の訓練生がやってきた。
「相席になってもらえないかな?」
「うん、いいよ。」
珍しいこともあるものである、普段声をかけても見向きもしない。
ことに男子に関しては、無視に近い行動をとっていた愛香が、それを許したのである。
その男子というのは、うちのクラス長の高巣 葵(たかす あおい)だった。
人を掻き分けて、愛香と幸可はの待つ席へと向かっていった。
トレイに乗った、お味噌汁やスープがちゃぷんちゃぷんと波打っている。
こぼさないように注意しながら、ようやっと席に到着した。
「やっと、着いた~。」
「お疲れ~!」
誰が何を言うでもなく、時間は過ぎた。そして・・・
「そろそろ、行くね。」
「あっ、うん。」
彼に見入っていた愛香は、はじかれたように返事をした。
葵はトレイを片手に「次は、技術だから間違えないでね。」と
さわやかに去っていった。
2人も、トレイを片付けようと席を立ったのだが・・・
愛香は、彼がいいた方向をぼんやりと眺めていた。
「愛香?行くよ?」
「遅刻しちゃうよ。」
2人の呼びかけにようやっと、顔を上げると気のない返事をして立ち上がった。
トレイを片付けて、ひとまず教室へと向かった。
  パタパタパタ ツィーーー ばこ!!
「ねぇ、今ニブイ音したよね?」
教科書やらノートを、机の上に投げていると妙な音がした。
「・・・あれ・・カドに当たってない?」
「「えっ」」
怖いくらい良く聞こえる耳を愛香は持っているのだ。
これのために、どんなに嫌でもクラスで悪口を言えるものは居ない。
とにかく、着替えて行かねばと急いで支度をして技術室へと向かう。
そういえば、そのとちゅうだった。彼女に会ったのは、茶色い髪に毛先がくるんとした
どこか人形を思わせる顔立ちの子だった。
彼女(宮元 香織)は、「どうしよう、どしよう」と言いながら何かを探している様子だった。
3人が声をかけると、さっきの音の主らしいことがおでこの赤みから見て取れた。
「(イタそーー。さっきのすごい音って、この子だったんだ。)」
「ねぇ、なに探してるの?」
「えっ、あの~。」
幸可がそうたずねると、申し訳なさそうに探し物のことを話してくれた。
「あの、体育室ってどこですか?」
これで、合点がいくと言うものである。確か、彼女のクラスはCクラス。体育の先生は超熱血教師で、みんなから避けられている存在である。
あの人だけには、出来るだけ近づきたくないものだ。
「ねえねえ、確か入学式のときに式辞読んでたよね?香織ちゃん?」
「はい!そうです。覚えていてくれたんですね。」
などと、話しているうちに2人とだいぶ離れて歩いていることに気がついた。
「あっ、待って!!」
「急がないと遅刻するよ。」
「その子も」
そうだ、忘れてはならないことを思い出した。彼女の次の授業は体育である。
「ゴメン、間に合わなかった。」
「は・・・・・・・う」
目の前まで案内すると、そろーっと整列の後ろに並んだ。
そして、次は自分たちの授業の教室の前についたのだが
後ろからのなんと言うのかしらけた気配が伝わってくる。
微かにではあるが、あの先生の声が締め切った扉の向こうから聞こえてくる。
「さあ、私・・・・教え・・・・ろう・・・・来るのだ。」
そのとき、その場の空気が凍りついたのは言うまでもないことである。
「可愛そうに、つかまっちゃたんだね。あの子」
「きっと、2、3日体痛いと思うよ。」
「ほんとだよね、まだ5分も前なのに。」
3人が立ち尽くしていると、忘れかけているであろうことを泉佳が言った。
「私たちも行かなきゃだね。」
「そうだね。」
3人は、技術室の扉を見て硬直した。

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再スタート
 しばらくぶりに書きかけの小説をupさせて続きを書こうと思います。
本家が復活したらまたいろいろと動くんでしょうが・・・・・・・・・・・・・・・・・
まず、ここまで。
後は起きてからにしようと思います。
(^_^)/~~オヤスミナサイ・・・

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