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本館の改装工事のため、再録&連載用です。
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2話「困ったときのおときさん」
ヤットミツケタヨオヒメサマノカタワレ


 あれはいったいなんの事だったんだろうか?
そんな風に聞こえた気がしたけど。
「泉佳?」
「っん?え?」
ふと声がした方を見ると心配そうな顔をした愛香の顔があった。
ボーっと不思議そうに眺めるだけで言葉が出なかった。
背にしていたドアが開いて下から入ってきた幸可を見上げる格好になった。
「どうした?なんか、あったの?」
「・・・・・・・うん。」
それだけ応えて、ぐったりした美佳を二人はひとまずベッドに寝かせて
明日は休んだ方がいいと休みの手続きをした。
「愛香、泉佳になにがあったの?なんか、ぶつかった音もしたんだけど」
「それが・・・・・・・・・私もよくわかんないの」
困惑気味ながらもひとまずで説明をした。
「そっか、それって先生に相談した方がよくない?」
「でも、信じてくれんのかな?病院とか連れてかれたら嫌だし」
「こういうときはっさ」
一つだけ先生でも病院にも相談できないときの助け舟になれる人がいる。
食堂のおときさんだ。
彼女ほどいろいろ知ってる人はいない。
そうと決まれば、明日は相談しに行く絶好のチャンスだ。
 次の日の夕方、晩の食事ラッシュの仕込みのためおいしそうな湯気が立ちこめている。
そこでひときわバリバリ働くおときさんの姿があった。
二人はさっそくおときさんに声をかけた。
「おときさん!ちょっといい?」
タオルで顔を拭きながら
「あいよ!待っとくれ!」
と威勢のいい声がする。
「どうした。そんな顔しちゃって、心配ごとかい?」
「うん。あんまり、大きな声でいえないけど・・・・・・」
誰も聞いていないのを確認してから
近くのテーブルで話をする事にした。
昨日、部屋であったこと泉佳の今の状態を一気に話した。
「そうかい、それはねぇ・・・・」
そこまで聞いたおときさんがふぅっと息をはいた。
「そりゃあ、イグラド。ようするに悪霊の寄り集まったようなやつさ。」
「あいつらは人の因果の流れを根こそぎぶち壊しちまう。
しかし、あの子もとんでもないやつに目をつけられたもんだね。」
イグラド。二人もその名前には聞き覚えがあった。
最近習ったばかりの対人外物戦闘における基本知識。
その中でもSA+に指定されている最悪の敵である。
SA+、SS、SB、Aとランクがある中で訓練生である二人には到底たち打ち出来ない相手だ。
これが必然で起きたことなら、なんて残酷なことだろう。
イグラドに魅入られたものは人生を狂わされるという。
生きていても死んでもなお待つのは地獄だ。

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